沖縄初の女性監督として初陣に臨んだ石川の東(あづま)佳奈子監督(42)が、鮮やかな采配を光らせ、7回コールド勝ちを手にした。初回にスクイズで先制するなど4点を奪って主導権を握ると、7回にはセーフティーバントの内野安打からチャンスを広げると、最後もスクイズで一気に2点を奪って「サヨナラコールド勝ち」を収めた。

「正直、ホッとしました。最初は押せ押せ。途中はなかなか流れが来ませんでしたが、最後は選手たちが点を取れるときに取るという意識が出て、この結果になりました」

東監督は満足そうに笑みを浮かべた。北山で3年、石川で1年部長を務め、今春に監督に就任した。「昨年からチームを見ていた。前監督から、あとは頼むぞと言われていたこともあり、監督をやらせてほしいという気持ちになった。選手にも私でいいかと聞いて了承してもらった。監督は今夏までと決めてます。だから、私にとっては最初で最後の夏になります」。夏が終わると現部長の伊波大吾部長(35)が就任予定。「実際に監督になるとこんなに大変なのかと思った」。野球経験はないが、ノックもできるまでに努力する姿を選手に見せて自らも「成長」。試合前のシートノックでは、後ろで結び、ベルト付近まで伸びた長い髪をなびかせ外野まで飛ばしていた。

山田達樹主将(3年)も東監督に「勝たせて挙げたかったので勝って良かった。元気もあるしノックも出来るようになったし、今夏は一番長い夏にしたいです」と笑みを弾かせた。

「選手のお母さんみたいなもんです。次戦からも選手と一緒に食らいついていきたい」。選手からウイニングボールをもらった東監督は、チームとともに試合後はすぐに2回戦で対戦する相手の研究のため、別の会場に急いで移動した。【浦田由紀夫】