吉井の主将・堀越奏汰捕手(3年)が、獅子奮迅の活躍で勝利の立役者になった。

「4番・捕手」で先発出場し、打撃では1回に先制の左翼線適時打を放つなど5打数3安打1打点。

守備では2点差に迫られた7回1死三塁の場面で2番手としてマウンドに上がった。

「自信がありました。得点される気がしなかった」

言葉通り、三振、二直でピンチを断ちきると、8、9回も3人ずつでピシャリ。捕手、投手、4番打者の重責を見事にこなし、チームを勝利に導いた。

「捕手に愛着があるし、投手も楽しさがある。きついと思ったことはありません」

群馬・高崎市立吉井西中時は前橋中央ボーイズに所属して主に捕手として活躍した。大きな希望を胸に抱いて岩手の強豪・盛岡大付に進学したが、1年の夏に退学。同年9月に地元の吉井に転校した。規定で1年間選手登録ができないため、昨年の夏の大会は応援団長としてスタンドで声を振り絞った。

昨秋に選手登録されると主将、4番打者、捕手としてチームをけん引。さらに今春からは投手も兼務することになった。この日は打席が回らない攻撃時に、マスク、プロテクター、レガース、ファウルカップなど捕手の防具をすべて脱いでブルペンに直行。登板に備えて準備を進めた。

「堀越はウチの大黒柱。2点差になったら登板させると本人に伝えていた。大変だと思うが、本当によくやってくれている」と湯浅正義監督(52)と全幅の信頼を寄せる。

2年ぶりの夏の大会勝利。堀越は高崎北との2回戦(14日)を見据える。昨年の1回戦で0-7で敗れた相手だ。「スタンドで見ていて悔しかった。必ず勝ちたい」と力を込めた。