大阪大会1回戦で、全国最多タイとなる5校による連合チームが奮闘した。「茨田・淀川清流・東淀工・扇町総合・南」が実力校の渋谷に敗れたが、6回に2点をもぎ取った。中でも2度の選抜出場を誇る扇町総合でただ1人の部員・鶴田大陽内野手(3年)は2安打を放ち、古豪の意地を見せた。

点差が開いても、5校連合はあきらめなかった。7点を追う6回1死一塁。3番鶴田が右翼に大飛球を打ち上げた。フェンス際への二塁打。「気持ち良かった」。初回の中前打に続き、この日2本目のヒットだった。チャンスを広げ、続く宮田涼内野手(東淀工、1年)が遊ゴロで倒れるも、その間に1点を返した。5番山中幸希外野手(東淀工、3年)が中前タイムリーを放ち、鶴田が2点目のホームベースを踏んだ。7回コールド負けで1回戦敗退となったが、意地を見せた。

全国最多タイとなる5校による連合チーム。平日は各校でそれぞれ練習に励み、土日は合同練習を行う。鶴田は扇町総合でただ1人の部員。同校の安藤聡司監督(30)と同級生1人が練習を手伝った。同級生が投げたボールをネットに打ち込む。安藤監督がノックしたボールを1人で追いかけた。他校を「うらやましい」と思ったことは1度や2度ではないが、「最後までがんばろう」と自らを鼓舞した。同監督は「部員が1人になった時に本人がやると言った。3年間、面倒みようと思った」と話す。

部員1人でも野球を続けたのは、ある思いがあったからだ。「最後まで続けたかった。辞めるのは後悔しそう」。扇町総合は前身の扇町商時代の40、51年の2度、選抜に出場している。近年は部員減少のため単独で試合出場ができない。22年度には南、西の3校で統合する。「伝統ある学校の野球部が僕で最後になるのは寂しい」。卒業すれば野球部は誰もいなくなる。古豪の看板を背負い、最後の夏に思い切りバットを振った。

鶴田は「大学で経営や商業の勉強をしたい。公認会計士になりたい」と卒業後の夢を語る。1人でもあきらめなかった経験は今後に生きる。【南谷竜則】