星稜(石川)が、指揮官の“復帰戦”を兼ねた夏の初戦を白星で飾った。15日七尾東雲戦で、初回に打者一巡の猛攻を仕掛け8得点するなど、10-0で6回コールド勝ちした。

絶対的エースは「打」の顔も頼もしい。「高校四天王」の1人、最速152キロ右腕・奥川恭伸投手(3年)は「投げる予定はなかった」と「5番・右翼」で先発出場。「全部打ちたくて力んでしまった」と苦笑いも2安打1打点をマーク。初回は三塁打で出塁して4点目のホームを踏み、6回は1死一、二塁から左越え適時二塁打を放ってコールド勝ちをお膳立てした。「元々打撃がいい」という林監督の期待に応える仕事ぶりで、奥川は「昨日もブルペンに入って、いい感覚だった」と本業の調子も整う。

林監督が公式戦で指揮を執ったのは約4カ月ぶり。センバツの習志野(千葉)戦でサイン盗みを抗議した一連の行動により、6月頭まで指導を自粛していた。白星発進にも「初心に帰った気持ちでやらせてもらいました」と神妙な面持ちだった。

成長を感じた一戦でもあった。ベンチ最前列で戦況を見守り「選手たちが自分たちの力を出してくれたので頼もしかった」。指揮官不在中、チームは石川県と北信越大会を制覇。奥川は「自分たちのやることは変わらない。まずは県大会を勝ちきって甲子園に行きたいです」。春夏連続出場へ本気の勝負が始まった。【望月千草】