東洋大姫路(兵庫)が「元4番」木南龍外野手(3年)のサヨナラ打で4回戦に進んだ。3-3の延長10回2死満塁、1番に座る主将は無心だった。

「初回に打席に向かう気持ちと同じだった」。走者の存在とチャンスであることを頭から消し去り、バッテリーとの勝負に集中。最後は外角スライダーに逆らわず、左中間へはじき返した。

4番打者として期待された春季大会は好機であと1本を打てず、準決勝で敗れた。木南は「自分が打たなかったから」と自分を責めた。以降、毎日の練習は居残ってバットを振り、いつも最後にグラウンドを出た。1番打者で迎えた最後の夏。取り組みを見てきた藤田明彦監督(62)は「最後の場面は、木南に打ってくれると祈っていた」と満面の笑みだった。「泥臭くてもいいから勝ち続けたい」。試合後の木南は主将としてチームの思いを代弁した。