明桜が東北一番乗りで4強進出を決めた。

期待の新1年生・風間球打(きゅうた)投手が先発で夏初登板し7回途中2失点の好投。縦じまのユニホームに183センチの長身、オーバーハンドから最速138キロの直球を投じる姿は、あの大船渡(岩手)佐々木朗希投手をほうふつとさせた。2年連続4強の仙台三は、力強くコールド発進した。

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マウンドの立ち姿が、一瞬、怪物とダブって見えた。縦じまのユニホームに身をまとった182センチ、79キロの長身右腕は、初となる夏舞台で、思い切り腕を振り続ける。強打の大曲工を相手に5回まで無失点。7回には「人生初」の本塁打を浴びてマウンドを降りたが、許した安打はわずか3。しっかりと試合を作って、チームを4強に導いた。

これまで2試合とも出番はなかったが、投げたい気持ちをずっと抱いていた。そして、この日の朝、輿石重弘監督(56)から先発を告げられると「最初は顔が引きつったけど、投げているうちに楽しめた。打たれても良いと言われ、投げられるところまでいった。2失点に抑えられたのは良かった」と、制球を重視し打たせて取る投球を心がけた。それでも、この試合で自己最速を2キロ更新する138キロを記録した。加藤捕手は「緊張しているように見えたが、マウンド度胸が良い。どうしたら度胸がつくか先輩にも教えてほしい」と笑った。

山梨出身の風間は4兄弟の三男で、兄弟全員の名前に「球」がつく。長男球道さんは山梨学院、次男球星さんは甲府工で野球部だった。小学生の四男球志良(きゅうしろう)さんも野球に励み、父啓介さんも当然、元高校球児だ。同郷の輿石監督から「ここでやってみないか」と誘われ、秋田までやって来た。同監督は「工藤(泰成)、佐々木(湧生)が投手の柱だが、風間で流れを変えたくて、結果で応えてくれた」とたたえた。夏初登板ながら度胸満点の投球で打者に向かっていった。

17年7月8日、まだ1年生だった大船渡・佐々木は、夏デビューの盛岡北戦で驚がくの147キロを計測した。9キロの差は今夏、どれくらい縮まるか? そんな期待を抱かせる、マウンドだった。【山田愛斗】