弘前学院聖愛が三沢に9-2で8回コールド勝ち。4年連続のベスト4進出を決めた。右腕成田京平(3年)が3安打2失点の好投。打っては2ランを放ち、投打に活躍した。昨年決勝で八戸学院光星に敗れた聖愛が、6年ぶりの甲子園に近づいた。

   ◇   ◇   ◇

背番号9の成田が躍動した。三沢打線を3安打に抑え、8回まで完投。6奪三振は1~4番の上位から奪った。もともと中軸打者だが、この日は投球に力を注ぐため8番に下がった。それでも4回裏2死三塁では、豪快に左翼席にたたき込んで自身を援護。3-2から5-2とリードを広げ、投球に余裕をもたらした。

2回表、三沢の先頭に四球を与え、2安打で2点を失った。成田は「序盤に自滅したので、打たせて取る投球に変えた。球速よりコントロールを意識して投げた」と振り返る。ホームランは公式戦初で、高校通算10本目。「二塁走者を返すことだけ考えて振った」という。

成田は初戦の五所川原工戦で先発の捕手で出場。7回までマスクをかぶり、8回から登板。2イニングを4奪三振無安打無失点に抑えた。3回戦の八戸西戦では右翼手で先発出場。最終回となった6回1イニングを無安打無失点に抑えた。投げて打って守って、チームの進撃に貢献している。

これで聖愛は10年連続のベスト8入り。2001年(平13)創部の歴史の新しい野球部としては抜群の成績を誇っている。13年以来6年ぶり2度目の甲子園に向けて、学校や周囲の期待は高まる。

だが今年のチームについて原田一範監督(41)は「勝っても負けてもムードが変わらない。純粋に素直に野球を楽しんで、練習や試合をやっている」という。「『努力に勝る天才なし』と言いますが、うちの選手を見ていると『好きに勝る天才なし』ですね」と目を細めた。

準決勝へ向けて成田は「投球でも打撃でも、必ず小さなチャンスが回ってくる。それをとらえたい」と落ち着いた口調で話した。聖愛ナインが冷静に、クライマックスへ立ち向かう。【北村宏平】