東北の背番号7、古山慎悟投手(3年)が、急造らしからぬマウンドさばきを披露した。7回7安打も要所を締め1失点。「バックもいるし、投手も後ろにいるので思い切って投げた」と、無欲の勝利を強調した。

「目利き」からの抜てきだった。高校時代に元マリナーズの佐々木主浩氏(52)とバッテリーを組んだ富沢清徳監督(52)は、昨年10月に母校に就任すると、リセットした目で選手を見つめた。キャッチボールする古山に目が留まり、「いい球を投げるな。投手もやってみないか」と声をかけた。長打力のある外野手・古山にとって、小6以来の投手挑戦にも「投手と打者の両方でチームに貢献できたら」と迷いはなかった。

公式戦初登板となった5月の春季地区大会、宮城工戦でも7回1失点の結果を残した。富沢監督は前日(21日)先発をエース石森健太(3年)か古山かで迷った。「夢に出てきた方だ」と宣言すると、古山が「僕が監督の夢に出ます!」と返した。

度胸も買っての起用だったが「上々です。3回、5回のつもりが、あれだけ長く投げてくれるとは」。指揮官の想像を超える成長ぶりで、頂点まで駆け上がる。【野上伸悟】