第1シードの鶴岡東が11-7で第7シード山形中央に逆転勝ちし、3年ぶり6度目の甲子園切符を勝ち取った。4回まで追う展開を強いられたが5回表、打者一巡(11人)の攻撃で一挙7点を奪い、主導権を握った。計12安打に計10四死球を絡めた先発全員得点。チーム一丸の全員野球で昨夏決勝で敗れた悔しさを晴らした。

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鶴岡東が春の東北大会4強の実力を示した。9回裏、本塁打で1点を返された直後に3番手左腕・池田康平(3年)が救援。後続を3者凡退、最後はフォークボールで見逃し三振に仕留め、仲間たちと喜びを爆発させた。自己最速139キロを連投。マウンド上で大井光来捕手(3年)と抱き合った池田は「1度やってみたかった。短いイニングなので全力で投げた。いいとこ取りで申し訳ない」とはにかんだ。

序盤、主導権を握られたが2度追いつく粘りを見せた。2-2の5回表、内野安打に1犠打4四死球で2者連続押し出しから2得点。なおも1死満塁から8番・宝田健太内野手(3年)の右中間を破る2点適時打で波に乗った。この回、打者一巡(11人)で1犠打を挟み7者連続得点。6回までに先発全員得点もマークした。4回の同点打を含めて3安打3打点の宝田は「後ろにいい形でつなぐつもりでした。(決勝で負けた)去年ベンチにいた3年生7人がいて去年と同じことをしていては勝てないと思った」とチーム打撃に徹した。準決勝まで2本塁打を含む7安打7打点の主砲(5番)丸山蓮外野手(3年)は徹底マークされて4四死球1犠打1三振。無安打にも「一塁に進めるのは1ヒットと同じ。後ろのバッター陣がチャンスで打ってくれた」とゲームメークに徹した。

昨夏決勝で羽黒に敗れた悔しさを晴らすとともに、01年(平13)から始まった山形中央との2年ぶり11度目の夏対決も制し、通算6勝5敗と勝ち越した。3年生たちは前回対決の17年3回戦で5-12で敗れた相手に借りを返した。豊富な投手力を武器に初戦の2回戦から全5試合で計6投手を投入。この日も勝利の方程式になった3投手の継投で逃げ切った。1年時からレギュラーの4番・大井光来捕手(3年)は「悔しい思いをしてきたので今年こそ絶対に行かなければと思っていた。負けた1球が忘れられなかった」と好リードで投手陣を支えた。

過去、チームの甲子園勝利は春夏1勝ずつ。就任19年目の同校OB佐藤俊監督(47)は「ピンチもあったが落ち着いてやるべきことをやってくれた。校歌を何度でも歌えるようにしっかりと準備したい」。3年ぶりの甲子園で存分に、暴れて見せる。【佐々木雄高】

◆鶴岡東(つるおかひがし)1968年(昭43)創立の私立校。生徒数は678人(女子319人)。野球部も68年創部で部員102人。甲子園は春1度、夏5度。主なOBはソフトバンク吉住晴斗、元阪神青木重市。学校所在地は山形県鶴岡市切添町22の30。斎藤哲校長