全国高校野球選手権(甲子園球場)の新潟県代表・日本文理(2年ぶり10度目出場)は10日の第1試合(午前8時開始)、1回戦で関東第一(東東京)と対戦する。

9日は鳴尾浜臨海野球場で最終調整を行った。チームをけん引するのは、遊撃手の長坂陽主将(3年)。県大会6試合で打率6割5分、7打点の勝負強さと抜群のリーダーシップを発揮し、まずは初戦突破、そして目標の初の全国制覇へ、1歩を踏み出す。

   ◇   ◇   ◇

やるべきことはすべてやった。試合前、最後の練習を終え、号令をかけながらグラウンドに一礼した長坂は感じた。「勝つイメージしかない。ただ、負けたら、これが最後の練習になる」。関東第一戦は厳しい勝負を覚悟している。だからこそ気を引き締めた。「今大会は先制したチームがほとんど勝っている」。先行逃げ切りは日本文理の勝ちパターン。県大会6試合すべてそうだった。甲子園でもそれを貫くことが勝利への近道と確信する。

役目も自覚している。「最高の形は自分が送ること」。初回に1番桑原大紀二塁手(2年)が出塁し、2番の自分が犠打。そして3番長谷川優也三塁手(2年)、4番中田龍希一塁手(2年)でかえす。桑原が倒れた時は自分が出塁し中軸につなぐ。イメージはできている。県大会では20打数13安打の打率6割5分。13安打のうち10本が単打。チャンスでしぶとくつなげてきた。犠打6はチーム最多。何でもできる主将が試合を動かす。

鈴木崇監督(38)は「長坂が中心になって作ってきたチーム」と言う。8日の練習、単純な失策でナインは鈴木監督に叱られた。長坂は宿舎に戻るとチームメートを集めた。「目標は全国制覇。甲子園を甘くみるな」。この日の練習は全員が緊張感を持って臨んだ。佐藤魁星捕手(3年)は言う。「長坂は以前より声を出すようになった。みんなにきっちり声をかけてくれる」。ナインから信頼され、すべての面で要になってきた。

長坂は改めてチームを鼓舞した。「日本文理は甲子園に出るだけではだめ。勝たなければならない」。勝てば同校の夏の甲子園通算10勝目、全国の頂点への1歩。「堂々と試合をしたい」と言葉に力を込めた。【斎藤慎一郎】