宮城工が3-1で仙台を下し、第6代表として5年ぶりの県大会出場を決めた。1-1の8回裏に2点を勝ち越し、エース田野頼人(らいと)投手(2年)が11安打を浴びるも1失点に抑えて完投勝利。

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エース田野が、今秋から指揮を執る父田野誠監督(48)に、5年ぶりとなる県切符をプレゼントした。初回を3者凡退に抑える好スタートも、2回からは毎回安打を許し、常に走者を背負ってのマウンドだったが「人数(ベンチ入りは17人)も少なく、ケガ人もいる状態で、負けて連戦はしたくなかった。今日で決めたいと思っていた」と強い気持ちで152球を投げ、直球とスライダーを軸に再三のピンチを脱した。

1-1で迎えた8回裏、打線が田野の粘投に応えた。ヒットと失策、四球で1死満塁の好機を作ると、4日に右足の疲労骨折が判明した平間隼士外野手(1年)が外角直球を流し打ちで、右前に執念の適時打を放った。平間は「何も考えずに無心で打席に入った。少しでもピッチャーを助けることができて良かった」と笑顔。その後も安打が続き、この回2点を奪った。

それでも、9回に修羅場が訪れた。先頭の8番に右三塁打を許すと、田野監督はすぐさま伝令を送りだす。そのときを、田野は「三塁走者は関係なく、次の走者を許さないということを確認した。しっかり集中して抑えよう」と心に決めた。続く打者を二ゴロ、投ゴロ、中飛に打ち取って勝利を呼び込んだ。

目標だった県大会出場を決め、田野監督は「できることをやって負けたらしょうがない。できることをしっかりやること」と1戦ごと完全燃焼を目指す。5年前は初戦で敗退した。今年こそは親子の強い絆で、まずは1勝を目指していく。【相沢孔志】