盛岡一の「佐々木朗希から本塁打を打った男」が左前2点適時打で初戦を突破した。

7-7の9回表2死満塁、「4番右翼」高橋怜大(れお)外野手(2年)は決勝勝ち越し打。5-0から追いつかれた展開に「気の緩みが出てしまった。初戦で気づけたことはチームとして良かった。個人的には朗希さん以上の投手はいないという心の余裕が持てているので打てたと思う」。7月7日の練習試合で最速163キロ右腕から放った左越え本塁打は、自信の一助。176センチ、93キロの体で跳びはねて歓喜した。

憧れの存在は西武山川穂高外野手(27=富士大)。「小さい頃からホームランは野球の醍醐味(だいごみ)。あの豪快なスイングは魅力です。パワーと技術がすごい。自分も甘い球は必ずスタンドに持っていきたい」と背中を追う。試合前には花巻リトルシニアの先輩で、今月にプロ志望届を提出した青森山田・堀田賢慎投手(3年)から本塁打のご褒美に食事会を約束されたため「今日はちょっと力みすぎました」。東京6大学進学が目標だったが「来年に志望届を出せるような選手に成長したい」と意識は変わりつつある。大相撲の御嶽海似の山川に対し、元大関稀勢の里の荒磯親方似の笑顔で、さらなる飛躍を誓った。

今日16日の2回戦では宮古商と対戦する。「まずは県大会3位以内で東北大会出場が目標。勝ってセンバツに選ばれたいし、21世紀枠も狙えるかもしれない」。78年夏以来の甲子園出場に向け、「盛岡のどすこい君」が岩手高校球界の横綱、大関陣も撃破する。【鎌田直秀】