十勝地区は、帯広農が“秋の大収穫祭”で2年ぶり9度目の秋季全道大会出場を決めた。帯広工に9-1で7回コールド勝ち。

夏休みは秋田遠征で昨夏甲子園準優勝の金足農から刺激を受け、地元では午前5時からの朝練習を取り入れた。夏にまいた種が、今大会3戦連続2ケタ安打の合計36得点と大きな実になった。道内10地区20代表が出そろい、全道大会は26日に組み合わせ抽選、10月6日に札幌円山ほかで開幕する。

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代表決定戦も帯広農打線は止まらなかった。スタメンのうち8人が快音を響かせて合計11安打9得点。2回1死満塁では5番水上流暢(はるのぶ)右翼手(2年)が高めの直球を左翼席に放り込んだ。人生初となる満塁本塁打で地区突破に貢献して「全道で初戦敗退した夏の悔しさを晴らすため、全員で頑張ってきました」と笑顔で振り返った。

積極的に新しい試みに取り組んだ。夏休みでは初となる本州遠征で、秋田の金足農と戦った。昨夏に聖地を沸かせたチームから学んだのは試合前の姿勢。「準備運動から全力で声を張り上げていた。威圧感を感じた」と井村塁主将(2年)。迫力に押されて練習試合は1敗1分けだった。帯広に戻ると金足農のように声出しの雰囲気作りから徹底し、大会中に声をからしてしまった選手もいた。

「朝活」も新たな取り組み。農業高校のネットワークから助言を受けた前田康晴監督(43)は熱中症対策で、遠征前の夏休み練習を例年の午前9時から同5時に繰り上げてスタート。以前は暑さで休む選手もいたが、今年は集中できる環境で打ち込んだ。大会中も早朝に打撃練習をこなしてから試合に臨み「朝から打ってるので試合でも体が動く。目がボールについていける」と水上。父母や下宿のスタッフも早起きで送迎やご飯作りなどバックアップ。周囲の期待にも応えた。

夏にまいた種が秋に実り、3戦で44安打36得点と打ちまくった。水上らスタメン4人の実家は農家。大会とほぼ同じ時期には、ジャガイモの収穫のピークを迎えた。野球も作物も大収穫となる地区大会となった。2年ぶりの秋全道に向けて「1戦1戦、目の前の試合に勝っていきたい」と水上。勢いに乗って次のステージでも、大豊作を目指す。【西塚祐司】