今夏の甲子園で優勝した履正社が順当に5回戦に駒を進めた。やや重い展開で試合が進んだが、8回に代打真鍋剛志内野手(2年)の左越え2ランで試合を終わらせた。

湿り気味な打線の中で、大西蓮外野手(2年)が仰天の一打で驚かせた。パワーが自慢の5番打者は2回2死一、二塁で高めのボール球に反応。あわてて止めたバットに当たってしまったが、打球は右前まで飛んでいき適時打になった。

漫画「ドカベン」の岩鬼のように本塁打とはいかなかったが、規格外のパワーを示すには十分のシーン。筋力数値はチームトップクラス。188センチ、88キロのスラッガーは「初めてです。やってしまいました」と苦笑いした。この日は2安打2打点だった。

甲子園では18番でベンチ入り。新チームからは背番号9を背負う。「前任者」は甲子園で3本塁打したドラフト候補のスラッガー井上広大外野手(3年)だ。右の強打者という共通点があり、打撃の師匠。「井上さんと比べられる時もあると思うけど、自分で新しい9番を作りたい」と意気込む。高校通算10本塁打だが、まだまだ発展途上。3季連続甲子園へ、大西の成長は欠かせない。

自校グラウンドでの試合だったため、井上も練習していた。試合はほとんど見られなかったが「大西はパワーありますよ。この間の本塁打もビデオで見たら詰まっていた。まだ迷いが見えるので、割り切れるようになったらもっと打てると思う」と頼もしい後継者にエールを送った。

これまで3試合で54得点と、前チームゆずりの強打を発揮してきた打線は苦しんだ。11四死球をもらったことで点は入ったが岡田龍生監督は「甲子園でメンバーに入ってなかった選手がまだついて来られていない。チームとして(投手のタイプ別の)攻め方は決めてあるけど、できていない」と不満顔だった。

左打席から左越えに2ランを放った背番号20の真鍋はこれが公式戦初安打。「うれしかった。(同期の)小深田が1年から試合に出ていて、ずっと悔しかった。あいつがグラウンドでプレーしているときに僕らはウエートとか。絶対抜かすぞとみんなで言い合ってきました」。チーム内競争も活発化してきた。