5年連続プロ野球選手輩出中の花咲徳栄(埼玉)では、今年は右打ちスラッガーの井上朋也外野手(2年)が「6年連続」を意識できる存在だ。

勝負強さが自慢だ。17年9月~18年8月の1年間で対外試合125試合に出場し、220安打、210打点をたたき出した。「バットの出し方がうまくいかず、苦しんだ時もあったんですが」と反省する中での、驚異的な数字だ。

高校通算本塁打は19年終了時点で47本。「本数にはもうこだわっていません」と話すものの、昨秋県大会では本塁打が出にくくて有名な大宮公園球場で、逆方向の右翼席へ放り込み、ファンや関係者の度肝を抜いた。別の球場での話ながら「11月には、ちょこんと当てたらバックスクリーンに入りました」とスケールは大きくなる一方で、東海大相模・西川にもひけをとらないパワフルさも備える。

12月に主将に就任し、幅を広げるべく三塁守備にも取り組む。1年夏、2年夏と甲子園で持ち前の打撃を見せたが「甲子園に出ることが目標じゃない」ときっぱり。「勝負の年になるので、1分1秒をむだにせずに」と目は本気だ。

17年夏の同校甲子園優勝時はまだ中学3年生。決勝を大阪府内の自宅でテレビ観戦していたら、優勝直前の落雷で停電し、なんと歓喜の瞬間を目撃できず。「Wi-Fiまで切れました…」という鉄板ネタ(?)ができた“勝負弱さ”は、野球では見せない。相手野手が腰を引くほどの強烈な打球で、3年ぶり日本一の当事者を目指す。【金子真仁】