智弁学園が2年ぶり13度目のセンバツ出場を決めた。06年から伝統校で指揮をとる小坂将商監督(42)は「甲子園出場が決まるときは、いつも鳥肌が立つんです。ほっとしてます」と安心した様子だった。

「春はいいピッチャーで出てくると、そう簡単には打てません。それに今までは計算できたチームを作ってきたつもりですが、今年は予想外のことが起きます。だから守備と走塁をしっかりやることを心掛けてきました」

昨秋の近畿大会では、準々決勝の智弁和歌山戦を17対13で下したが、続く準決勝の大阪桐蔭戦で手痛い失策が響くなど5対6で敗戦。小坂監督は「ぼくはノックはパフォーマンスだと思うほうなんです。大事なのはキャッチボールという考えです」と基本に立ち返ったことを明かした。

今大会から採用される球数制限の新ルールには「4、5人のピッチャーがいますが、早め、早めの継投になると思います。それと投手の使い方も変わるでしょうね。でも、困るか? といったら、こちらもワクワクしてるんですよ」と反応した。

また、昨夏に完成したのは“恐怖のビーチ”。グラウンドの右翼ファウルエリアに、同校16期生のOBから長さ30メートルの砂場の寄付を受けた。智弁学園硬式野球部OB会の辰己眞敏副会長は「前々から監督から『砂場がほしい』とリクエストを受けていたんです。できるだけ下半身に負荷のかかる川砂を運びました」と説明した。

小坂監督も「ぼくは和歌山生まれで海をみて育ってきました。でも奈良には海がないので、ぜひ砂場を作って選手をそこで走らせたいと考えていたんです。いい砂ですよ」と毎日のように選手をそこで走らせながら下半身を鍛えてきた。

OBの巨人岡本をほうふつとさせる太い下半身の4番前川右京外野手(1年)は、嫌いだった野菜も食べるようになり、1日7食の食事で、10キロ増の体重90キロにまで成長した。

「チームが勝つことが最優先です。秋からしっかり体を作ってきました。甲子園では苦しい場面でワンスイングで決められるように、鋭い打球を広角に打ちたいです」

16年センバツでは全国優勝を果たした。熱血漢の小坂監督は「優勝するときはツキもあります。でも新チームになってから日本一を目指すといってやってきました。日替わりヒーローがでてくるのが理想ですね。選手と一緒に戦っていきます」と締めくくった。