第92回センバツ高校野球大会(3月19日開幕、甲子園)の選考委員会が24日、大阪市内で開かれ、東北勢からは3校が選ばれた。昨秋の東北大会で準優勝した鶴岡東(山形)は鶴商学園時代の79年以来41年ぶり2度目、現校名では初のセンバツ切符を手にした。

前回と同じ夏春連続出場。昨夏は甲子園で初の1大会2勝を挙げ、現チームも公式戦の通算打率4割2分の強力打線を武器に、2季連続で旋風を起こす。組み合わせ抽選会は3月19日に大阪市内で行われる。

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創部53年目の鶴岡東に2度目のセンバツ吉報が届いた。午後3時6分過ぎ、選考委員会からの電話を受けた斎藤哲校長(58)は「ありがたくお受けいたします」と感謝。職員室は拍手に包まれ、選手たちは鈴木喬主将(2年)を胴上げして喜びを爆発させた。

同校OBの佐藤俊監督(48)にとっても就任20年目の節目の全国出場。順当な選出にも「でもビビリますよ。(前回出場の)昭和54年は僕が小学1年で鶴商のファンになった。その思いをよみがえらせるような野球を見せたい」と話した。

スローガンに「全員野球の神髄ここにあり!」を掲げる。昨夏からのベンチ入りは2人だけだが、強力打線は健在だ。秋の県大会から公式戦打率は7番野川大輔外野手(2年)の6割4分を筆頭に4割超えが3人、先発9人中8人が3割を超える。昨夏甲子園は初の1大会2勝を挙げて3回戦進出。2回戦はセンバツ準Vの習志野(千葉)に9-5で勝利し、名物応援団の「美爆音」を黙らせた。秋の東北大会決勝は7回表まで8-5とリードしたが、仙台育英に逆転負け。ただ1人、昨夏からレギュラーの1番山路将太郎内野手(2年)は「負けた悔しさがあるので春にぶつけたい。1番バッターとして火付け役になりたい」と意欲。4番馬場和輝内野手(2年)も「つなぐ野球で出塁すれば(本塁に)かえしてくれる」と仲間を信頼する。

投手陣も「マウンドに立ったら全員がエース」を合言葉に競い合ってきた。昨夏は6投手、秋は県大会初戦から7投手を起用。今春センバツから1週間500球の球数制限が導入される中、佐藤監督は早くから「分業制」を実践してきた。東北大会で2戦完封勝利の最速138キロ右腕・太田陽都(はると、2年)は「1戦1戦に集中して、アウトをつみ重ねて勝利に貢献したい」と意気込んだ。

佐藤監督の指導方針は「練習はウソをつかない・練習でできないことは試合でもできない」。選手起用は練習姿勢も含め、結果に対して結果で報いてきた。山形県勢のセンバツ成績は10勝13敗。鈴木主将は「去年の3年生から受け継いだことを生かして暴れたい」と闘志満々。春の甲子園の空に向かって、41年ぶりに「鶴」が羽ばたく。【佐々木雄高】