関東・東京6校目での滑り込み出場を決め、花咲徳栄の井上朋也主将(2年)は安堵(あんど)した。

「選ばれると信じて待っていた」。昨秋の関東大会後から平静を装いながら練習に励んできたが、発表日が近づくにつれて落ち着きがなくなってきた。4年ぶり5度目の出場が決まった瞬間は数学の授業中で、緊張は最高潮。「全然集中できませんでした。決まって『やった!』という感じ」とあどけない笑顔を見せた。

高校通算47本塁打を放つ今秋ドラフト候補は、主砲の自覚を常に持ち続ける。2学年上で4番を打っていた日本ハム野村が引退する際、試合で使っていたバットをプレゼントされた。「4番はチームの顔。恥じないようにやらないと」。偉大な先輩の相棒を寮の自室に飾り、モチベーションを高めてきた。

自身3度目の聖地へ、忘れ物を取り戻しに行く。昨夏の甲子園2回戦、明石商(兵庫)戦でチャンスで凡退し、3-4で敗れた。自身の打撃がチームの勝敗に直結することを痛感した。悔しさを糧にこの春は打点にこだわる。「打点の大会記録を塗り替えたい」。バットでチームを日本一に導き、甲子園に満開の花を咲かせる。【湯本勝大】