智弁学園が“恐怖の砂場”で生まれ変わった。2年ぶり13度目のセンバツ出場。小坂将商監督(42)は「甲子園出場が決まるときは、いつも鳥肌がたつんです」と気を引き締めた。

昨秋の近畿大会でミスが目立ったことから、キャッチボールなど基本練習の反復を徹底。その一環が右翼ファウルゾーンに完成した長さ30メートルの砂場だった。昨夏に16期OBから寄付されたもので、野球のグラウンドには珍しい光景だ。

「ぼくの生まれた和歌山には海があったので奈良にも砂場がほしいと思ったんです。砂場を走ると股関節も柔らかくなると思う。ええ砂です」と小坂監督。下半身強化で守備のミス撲滅に砂場トレはうってつけだった。

同校では巨人の若き主砲岡本が育った。「4番」を打つ前川右京外野手(1年)も「体を大きくしたかった」と砂場トレに取り組みながら嫌いだった野菜も食べるようになったし、1日7食の食事で、10キロ増の体重90キロにまで成長した。

投手は左腕西村王雅投手(1年)が中心。球数制限の新ルールにも小坂監督は「早め、早めの交代になると思いますが、困るか? といったら、ワクワクしてます。日本一を目指してやってきましたから」とたくましくなった姿を見せつける。【寺尾博和】