新潟県高野連は4日、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、26日から開催予定だった春季高校野球県大会の中止を発表した。

富樫信浩会長(59)が新潟東高で会見を行い、明らかにした。1949年(昭24)に始まった同大会の中止は初になる。これによって6月6日から開催予定の春季北信越大会(長野)に県代表は出場しない。7月11日開幕予定の全国高校野球選手権新潟大会に向けては予定通りに準備を進めるとしている。

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春季県大会の中止について、富樫会長は「各校とも賛意を示してくれた」と言う。理事と連絡を取りながら2日に中止を決め、各校に通達した。理由として(1)集団感染の防止を保証できない(2)移動中のバスやロッカールームなど密閉空間の使用を避けられない(3)球場の消毒が困難で消毒液の確保も難しい(4)練習不足により選手にケガのリスクが高い-ことを挙げた。

特に富樫会長は「ケガの不安があることを重視した」と話した。県立校は3月2日から臨時休校に入り、部活動を行っていない。2月中旬に学年末考査があり、ほとんどの高校が実質的に約2カ月間、十分な練習ができていない状態にあることが大きい。また、13日から練習試合は解禁としたが、県外遠征や県外校を招いての試合は禁止される。

県大会が実施されないことで、春季北信越大会(6月6~9日、長野)への県代表の出場はない。同大会の開催については北信越各県で意見がまとまっておらず、「後日、理事会で協議することになる」(富樫会長)見込みだ。

全国高校野球選手権県大会(7月11日開幕予定)について、富樫会長は「今のところ予定通りに開催の準備をする」としている。ただ、秋季・春季県大会の結果を受けて決まるシード校の選定など大会の概要は未定。感染拡大が収まらなければ、全国選手権(甲子園)の開催そのものも危ぶまれる。富樫会長は全国選手権を見据え「水面下かもしれないが、日本高野連が5月末までに一定の結論を出すと聞いている」とした上で、「個人的にはそれでは遅いと思う」と早期の判断を求めた。

「試合をさせてやれないのは申し訳ないと思う。ただ、こうした判断を毅然(きぜん)と行うのが私たちの役目」。富樫会長は選手の心情を察しながら、高校の部活動の一環として、選手の安全確保を最優先に判断したことを強調した。