日本高野連は10日、8月10日から甲子園球場でセンバツに出場予定だった32校を招待して「2020年甲子園高校野球交流試合」を開催することを決定した。

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交流試合の実現は、特別協力で名を連ねる「阪神甲子園球場」が後押しした。小倉事務局長が球場へ夏の大会中止を伝えに行くと、球場側から「しばらくこの状態で空けているので、もし何か高野連で使うのであれば、お待ちしています」と返答があった。予定されていた8月10日~25日を、阪神などの試合で埋めずに空ける。この状況を八田会長に伝え、話が進んで行った。

5月20日、夏の甲子園中止が発表された。八田会長は「あの時の判断は正しかった」と話す。全国に緊急事態宣言が発令され、休校など先が読めない中で47都道府県から全49代表を選出することは不可能と判断した。一方で、センバツに出場予定だった32校に約束していた救済案は何も実現しないまま時間が経過。球児から春も夏も奪ったもどかしい日々が続く中、甲子園球場の申し出は天の声だった。

感染状況は収まり始めているが、全国から集まるリスクは当然ある。大会運営の詳細を決める実行委員会のメンバー24人が発表されたが、その中には医師も3人含まれる。専門家の意見を常に聞ける態勢をつくった。雨天順延を除けば、最大2泊3日しか滞在しない。八田会長は「感染者が判明した時は陽性者の素早い隔離など、専門家の提言などを受け、必要な処置を行い、懸念がないチームには引き続き交流試合に臨めるように万全を期したい」と説明。感染者が出たからといって大会を打ち切りにはしない。すべてを中止にするのではなく、1チーム1試合ずつでも、最後までやり抜く。球児の頑張りに報いるべく、高野連も覚悟の決断を下した。【アマチュア野球担当=石橋隆雄】