今夏の「2020年甲子園高校野球交流試合」(8月10日開幕、甲子園)に出場する仙台育英(宮城)が、新型コロナウイルス感染拡大による自粛明け初の練習試合を行い、青森山田を8-0と圧倒した。昨秋青森王者のドラフト候補150キロ右腕・小牟田龍宝投手(3年=東北題字に写真)を初回から攻略。センバツと選手権は中止となったが、日本一に挑んできた強さは健在だ。鶴岡東(山形)も初対外試合で山形学院に19-4と快勝発進した。また、東北地区高野連は各県代替大会の優勝校に出場権が与えられる「東北大会」(8月9日開幕、宮城・石巻市民球場)開催を発表した。

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仙台育英がライオン軍団の愛称のごとく、猛烈に襲いかかった。初回1死から連打で先制。「4番遊撃」入江大樹内野手(3年)が小牟田とのドラフト候補対決で、内野ゴロを転がす最低限の役割で2点目を挙げた。投手陣も最速143キロ左腕・向坂優太郎(3年)が7回から登板し、3回を2安打無四球無失点。「今日は球数を少なく抑えることがテーマ。ストライク先行で投げられたことが良かった。相手を感じながら投げられるので、試合はやっぱり良いですね」。3投手での完封リレーに充実感を得ていた。

チームはセンバツ、選手権の中止により、5月下旬までは活動を自粛した。各自が実家で過ごし、オンラインなどを使ってミーティングを重ね、今後に何をすべきかを議論してきた。向坂は「憧れの舞台だったので残念ですが、自分自身は下級生に何を伝えられるかなども考えながら行動出来た」と心の強さも増した。

先発の尾形史人(3年)、粕谷瑛斗(3年)はセンバツメンバー外だった選手だが、宮城県の代替大会(7月11日開幕)に向けて大きなアピールとなった。打撃陣も背番号15を付ける予定だった佐々木涼外野手(3年)が初打席で左中間適時二塁打を放つなど2安打1打点で「県でも甲子園でも、子どもたちに憧れられるような全力プレーを見せたい」と意欲。石川汰一内野手(3年)、平松秀児内野手(3年)ら主力ではなかった選手も打点を挙げるなど、層の厚さも増している。

須江航監督(37)は県大会は3年生で、甲子園交流試合はセンバツメンバーを勝ち取った20人で臨む意向だ。3年生40人を中心とした好発進に「高みを目指して試行錯誤しているので、良いステップだと思う」と笑顔。本来はセンバツ、選手権、国体の全国3冠を目標に掲げていたが、宮城、東北、甲子園の3大会制覇を集大成にする。【鎌田直秀】