全国高校野球選手権大会の代替で独自大会の「2020年夏季茨城県高校野球大会」の抽選会が23日、水戸市内で行われ1、2回戦が決まった。昨夏優勝の霞ケ浦は、初戦で土浦二-石岡商・潮来・竜ケ崎南・神栖の連合チームの勝者と対戦する。エース山本雄大投手(3年)は後輩たちへ思いを手紙にしたためた。

選手権がなくなった今夏。球児たちはどんな思いで試合に臨むのか。直筆の手紙とともに随時掲載していく。

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霞ケ浦の左腕エース山本は、この1年、悔しさを胸に投げ込んできた。昨夏の甲子園。初戦の履正社戦は2番手で登板。6回2/3を投げ10安打4失点で敗戦投手に。山本は「今まで見てきたチームと比べ、バッティングがすごい。上には上がいる」と痛感した。全国レベルに圧倒され、涙があふれた。エースになって堂々と全国の打者と勝負できるようになりたい。そして、もう1度甲子園のマウンドに立つ。そう心に誓った。

甲子園だけが支えだった。冬は、毎日走り込みと投げ込みに力を入れた。自粛期間中も室内練習で毎日、自主練習。甲子園のマウンドを想定し内角と外角を交互に投げ、伸びのある直球と制球力に磨きをかけた。地道な練習にも耐えられたのは、甲子園への思いがあったからだ。

再び甲子園に立つ夢は断たれた。「悔しい。でも、霞ケ浦のエースは今までいい投手ばかりなので、負けないように投げたい」エースのプライドが山本を奮い立たせる。手紙に書いたように、甲子園出場の思いは後輩たちに託し、エースとして最後の大会を優勝で締めくくるつもりだ。【保坂淑子】