専大北上が盛岡商に26-0で圧勝し、全国一番乗りで今夏の高校野球代替大会優勝を飾った。初回に打者一巡の猛攻で11得点。計21安打と打線が爆発し、投げては4投手による2安打完封リレーと投打で圧倒した。岩手代表として東北大会(8月9日開幕、宮城県)の切符をつかんだ。

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専大北上打線が初回からフル回転した。相手が浮足立つ隙を見逃さず、敵失と4連続四死球、長短4安打など好機は止まることなく、初回だけで11得点の先制パンチ。3回以降も19安打15得点と打ちまくり、3回には加藤伯内野手(2年)が今大会チーム第1号のランニング本塁打を放ち、さらに勢いづけた。「初めてホームランを打ちました。巨人丸選手のツイスト打法を意識するようになって、体が開かずにコンパクトで打てています」と、会心の一打を笑顔で振り返った。

投げては先発の平沢大斗内野手(3年)が、5回1安打9奪三振で無失点に抑えた。最速131キロの直球とキレのあるスライダーをコーナーに投げ分けた。「ベストな状態ではなかったけど、捕手のミットをめがけて思い切って投げ切れました」。6回は主将の沢田悠内野手(3年)が1回2奪三振。7回は藤田陽斗外野手、8、9回は佐藤瑠聖投手(ともに2年)が先輩からの完封リレーをつないだ。

菅野裕二監督は「個人個人の自主練習の成果が出ていたと思います。東北大会でも優勝して、3年生には全国大会に行く権利があったのだと思ってほしいし、悔いのないようにプレーしてほしい」と3年生を思いやった。指揮官の指導方針は「打者はホームラン、投手は140キロを目指す」というダイナミックさ。そのため、試合中に犠打などの小技は一切ない。東北の高校軟式野球は近年、能代(秋田)と仙台商(宮城)の2強時代にあるが、「フルスイングするのがウチらしさ」(菅野監督)と豪快野球を貫き、みちのく王者に挑む。【佐藤究】

〇…盛岡商は2安打無得点に封じられたが、古川稜久主将(3年)が1安打を放ち気を吐いた。「初球を狙った。イメージ通りの打撃ができました」。昨秋は部員不足で合同チームでの参加。今春に新入生5人が加わり、単独チームで出場できた。選手11人で勝ち取った準Vに「後輩には良い選手がたくさんいる。来年は自分たちの成績を超えてほしい」とエールを送った。