夏の福島大会の代替となる「福島2020高校野球大会」(18日開幕)の組み合わせ抽選会が1日、郡山市内で行われ、合同5チームを含む71チーム(81校)が参加した。

夏の甲子園でおなじみの「栄冠は君に輝く」を代表曲とし、今年のNHK朝の連続テレビ小説「エール」のモデルで作曲家の古関裕而氏は、福島商OB。校歌も作曲しており、伝統校がブームに沸いた年を有終の美で飾る。

福島商は練習を終えると全員で校歌を斉唱する。3年生は今まで数え切れないほど歌ってきた。鈴木悠陽投手(3年)は森合小、福島四中と大先輩作曲の校歌で育った。「ずっと先輩の曲で甲子園を行進することを想像しゾクゾクしてきた」と思い入れは強い。夢はかなわなくなったが、今大会では1回でも多く演奏を流してみせる。感染予防のため生では歌えないが、松川稜央主将(3年)は「表情とかで伝えたい」と魂を込める。

古豪復活へ周囲の期待は大きい。今大会も思い出作りの位置づけではない。最速138キロの鈴木に、中村魁斗投手(3年)も137キロまでアップし、エースの座を争うまで急成長してきた。中村は「甲子園がなくなり心に穴が開いたけど、今までやってきたことを続けることに価値があると思った」と代替大会に全てをかける。渡辺真也監督(55)は「エールの放映は生徒にとって励みになった。世の中がこういう状況なので、今度はこのチームが人々に『エール』を与える試合をしてほしい」と期待を込めた。【野上伸悟】