福岡で福岡地区大会予選などが開催された。福岡大大濠は、最速153キロのエース右腕、山下舜平大(しゅんぺいた=3年)が春日戦の9回に登板。国内全12球団のスカウトが見守る前で、この日の最速151キロ直球を軸にカーブを織り交ぜ、8割の力で3人で締めた。

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“大谷&ダルビッシュ2世”を目指す山下が、剛球連発で締めた。9回、登板を待ちわびた国内全12球団の前に、ついに姿を現した。一斉にスピードガンやビデオが向けられる中、150キロ前後の快速球を軸にカーブで翻弄(ほんろう)。最終打者を打ち取り「ホッとしました」と笑顔を見せた。

夢はプロで、目標は「大谷選手やダルビッシュ投手に魅力を感じる。スピードがありながら変化球も織り交ぜられる。そういう選手になりたい」と明かす。この日は、昨秋県大会以来の公式戦登板で「8割の力で力みもあった」と振り返った。それでも巨人武田チーフスカウトは「器の大きさ、エンジンの大きさがある本格派。将来が末恐ろしい。楽しみです」と絶賛した。

成長が努力の証だ。昨冬から続ける「ウエートトレや食事トレが一番大きい」と、体重は146キロを記録した昨秋から今は約10キロ増の93キロ。より下半身が強くなり、6月中旬の練習試合で最速153キロを記録する原動力になった。

新型コロナウイルス感染拡大で部活の中止は2カ月に及んだが、その間、マリナーズ・イチローの引退会見の動画を見る機会があり「継続することが大事と言っていて、とてもいいなと思った」と、継続は力なりを実感。さっそく実践し、体幹強化や階段ダッシュ、シャドーピッチングなど同じ練習メニューを朝から夜に分けて辛抱強く続けたことも実を結んだ。

名前の舜平大(しゅんぺいた)はなんと、20世紀前半に活躍した経済学者ヨーゼフ・シュンぺーターに由来する。球界の「偉人」になる可能性を秘める逸材が現れた。【菊川光一】

◆山下舜平大(やました・しゅんぺいた)2002年(平14)7月16日、福岡市生まれ。野球は小3から筑紫丘ファイターズで始める。三宅中野球部3年時に福岡県選抜で全国大会準優勝。福岡大大濠では2年春からエース。100キロ台のカーブも武器。遠投110メートル。50メートル走6秒7。188センチ、93キロ。右投げ右打ち。血液型B。