夏の静岡県大会では5年ぶりに実現した伝統の一戦は、静岡商が3-2で静岡高を振り切り、5年ぶりに4強入りした。エース高田琢登(3年)が、相手打線に7安打を浴びるも、要所を締めて完投した。静高は、先発の松本蓮投手(3年)が2回以降を無失点に抑える力投を見せたが、あと1歩届かなかった。聖隷クリストファーは、延長戦の末に常葉大菊川を2-1で退け、2012年(平24)以来、8年ぶりのベスト4進出を決めた。

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静岡商の高田が、105球の熱投で昨夏覇者を退けた。序盤から慎重に相手打者の外角低めに投球を集め、テンポの良い立ち上がりを見せた。試合中盤に静高の粘りに苦しみ失点を重ねたが、味方の好守にも助けられ、最後まで投げ抜いた。「(失点した)3、4回は苦しかったが、静高に勝ちきれてすごくうれしかった」と表情を緩ませた。

元々、この試合が予定されていた先月26日ごろは、不安定な気候も影響して、体調を崩していたという。だが、雨で試合が1週間順延。万全の状態に回復した。「今日は投げていて、先週よりも球質が良いと感じた。あの雨が、恵みの雨になったと思う」と打ち明けた。

味方もエース左腕を援護した。初回、1番杉山翔平外野手(3年)が、公式戦初アーチとなる先頭打者弾で先制点をプレゼント。高めに甘く入ったスライダーを右翼席へ運んだ。「この1週間、静高戦で打つためにやってきたのでうれしかった」。1点差の5回には、無死一塁で対馬勇斗捕手(3年)が、走者の二盗を阻止。「走者のリードが大きく、エンドランをしやすいカウントだった。琢登がクイックでしっかりと投げてくれたのも大きかった」と振り返った。

これで2日の大会最終日へ駒を進めた。勝っても負けても、高校野球生活最後の日となる。ダブルヘッダーの準決勝か決勝戦での連投が確実な高田は「あと1日なので、全力を出し切って終わりたい」と力を込めた。1歩ずつ上ってきた階段も、頂上が近づいてきた。【河合萌彦】