昨秋準優勝の立役者、拓大紅陵のエース竹内将悟投手(3年)がケガに泣いた。

大会2週間前に腰痛を発症。先発を回避したが、1-7で迎えた7回、チームの劣勢に「投げさせてください」と和田孝志監督(49)に直訴した。元プロ野球ロッテの投手だった和田監督は、チームのために投げたいエースの気持ちは痛いほどわかった。しかし、将来がある選手をここで無理をさせるわけにはいかない。「次の回からにしなさい」。味方の反撃を待ち、1イニング限定で8回から竹内をマウンドに送った。

しかし、調整も不十分のままでの登板で、本来の投球ができない。1安打1失点。竹内は「こんな形で終わり悔しい」と唇をかんだ。

エース対決を待ち望んでいた志学館のエース相馬綾太投手(3年)も「ベンチにいる竹内君を見て、もっと投げたかったのかな、と思いました」と思いやった。

苦しいままで終わった高校野球。竹内は「大学に行ってプロを目指します」と前を向いた。【保坂淑子】