全国選手権に9度出場した古豪・盛岡一が同10度出場の盛岡大付に8-5で競り勝ち、激戦区の第1代表をつかんだ。同点の10回表1死満塁で、平井太耀内野手(2年)が勝ち越しの3点適時三塁打。守っては4投手の継投で1度もリードを許さず、今夏の県独自大会準々決勝で敗れた雪辱を果たし、盛岡大付から11年ぶりの公式戦勝利を挙げた。

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仲間がつないだ好機を一振りで決めた。盛岡一は10回表1死から3連打。満塁で8番平井に打席が回った。「自分が打ってヒーローになるつもりだった」。初球の真っすぐを迷わずフルスイング。打球は右中間を真っ二つに破り、走者一掃の決勝三塁打。ベンチ、スタンドの保護者が盛り上がる中、平井は塁上で渾身(こんしん)のガッツポーズで応えた。「積極的に振って、走者をかえせたのが良かった」と笑顔を見せた。

夏の悔しさが歓喜に変わった。9回から4番手でマウンドに上がったエース右腕・佐々木裕平(2年)が、10回裏を3者凡退で締めた。「夏は先発して負けた相手(スコアは4-11)。最後は気持ちで向かっていった」。最後はカーブで二ゴロに打ち取ると、ナインは抱き合って喜びを爆発させた。佐々木は「ずっと負けていたので、うれしかった。優勝したみたいな感じでしたね(笑い)」。09年夏準決勝の1-0勝利から、公式戦では5戦ぶりの白星奪取となった。

先発した左腕・菅(かん)龍太朗(2年)はポーカーフェースで淡々と試合を作った。力のある直球にカーブを織り交ぜ、6回まで4安打無失点。5-0の7回に四球と4安打で4失点したが、粘り強く強力打線に立ち向かった。「(7回)先頭の四球が反省点だが、緩急を使った自分の投球ができた。『打倒私立』の気持ちはあるが、相手を意識しないように、目の前の1戦1戦を大事に戦いたい」。16校による激戦トーナメントで「優勝」。勢いのまま、県大会でも初のセンバツに向かって突き進む。【佐藤究】