札幌地区は代表決定戦6試合が行われた。1951年創部の千歳が札幌東を3-2で制し、初の秋季全道大会進出を決めた。3季通じても4強になった72年夏以来48年ぶり。エース右腕、中村亮太(2年)が6安打2失点の3戦連続完投で地区突破に導いた。

ほかに北海、札幌第一、札幌国際情報、札幌光星、札幌日大が全道大会へ進出した。

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千歳がピンチを切り抜けて道大会切符を射止めた。3-2の9回。失策と2四死球で2死満塁。エース右腕、中村は、渾身(こんしん)の直球で、相手打者をを遊ゴロで打ち取った。49年ぶりの秋全道を目指した札幌東に逆転を許さなかった。3戦連続で最後までマウンドを守った背番号1は「うれしいです。みんなが盛り上げてくれたからやってやろうと思っていた」。大会前からの腰の痛みも吹っ飛び笑顔がはじけた。

「油断できないチームなので」。149球で2失点完投の中村の言葉は、相手ではなく自らのチームを指して言ったものだ。出場9人中5人が1年生で、この日は内野手3人で5失策。6回にスクイズなどで2点先制したが、7、8回にはミスもからんで1点ずつ献上した。ミスは中村を中心に全員でカバーし乗り切った。

エースは後輩のミスに顔色1つ変えないが、投球フォームは変えまくる。「結構、マネをして投げているんです。この大会は日本ハム吉田輝星」。左足への体重移動や気持ちで押していくスタイルを参考にした。直球にスライダー、チェンジアップを織り交ぜて今大会は3戦27回433球を投げ8失点(自責5)。背番号1だった昨秋はソフトバンク千賀、今春から夏まではエンゼルス大谷を手本にしたが「しっくりこなかった」と、試行錯誤でつかんだスタイルだった。

18年7月就任の渡辺貴友監督(47)は「やることをちゃんと積み重ねる」をモットーにチーム作りを進めてきた。守備では声掛けやカバーリングなど基本を徹底することを伝えてきたが、この日はミスも目立った。何度もベンチから声を荒げた指揮官は「守ってあげないと」と全道に向けての修正点を掲げた。中村は「目標だった全道でも頑張りたい。このまま(吉田輝)で投げます」。72年夏以来の道大会1勝へ。発展途上のチームは成長した姿を全道舞台で披露する。【浅水友輝】

▽0-0の6回1死二、三塁のスクイズで決勝点となるホームを踏んだ三走の千歳・井坂陸王(りお)捕手(1年) スタートはミスったけど、仲間が自分を犠牲にして決めてくれたのでホームに帰らなきゃと思っていた。