秋田で波乱のスタートとなった。今夏初戦敗退の大館桂桜が、同県王者のノースアジア大明桜を3-2で破る大金星。プロ注目の最速150キロ右腕・風間球打(2年)攻略にてこずりながらも、延長13回タイブレークでワンチャンスを仕留めた。

   ◇   ◇   ◇

大館桂桜が「ジャイアントキリング」で8強を決めた。主役はエース安藤拓巳(2年)で、自己最長の13回を2失点完投。低めに制球したスライダーを軸に195球に魂を込めた。試合の分岐点は2-2の13回1死二、三塁、明桜の攻撃。自らの判断でスクイズを2度外して三振を奪うと、スタートを切っていた三走を挟殺、併殺完成で流れを呼び込んだ。

その裏の攻撃で大仕事をやってのけた。2死一、二塁、一打サヨナラの場面。安藤に打席が回り「自分が決めないと勝てない。絶対決めようと思った」。外角に甘く入ったスライダーを逆らわずに捉えると、風に乗り右翼手の頭を越した。3回から登板の風間に対し、チーム安打2。そのうち1本が値千金打になった。

悔しさを力に変えた。今夏の地区大会初戦でコールド負け。1年時の昨夏は1発からリズムを崩し、敗戦につながった試合もある。今回は風間にソロ被弾も、大崩れしなかった。「県大会の組み合わせが決まり、多くの人が明桜が勝つと予想してたと思う。それを覆したい、やってやるぞという気持ちだった」。2回戦以降も「KEIO旋風」を巻き起こす。【山田愛斗】