室蘭、函館、小樽、空知、北見の5地区で代表決定戦が行われ、空知地区は今夏の北北海道王者クラークが、岩見沢東を8-0の7回コールドで下し、3年ぶり2度目の秋季全道大会進出を決めた。今大会初登板の左腕、佐藤寛太(2年)が先発し5回6安打無失点と好投。今大会は2本塁打含む6安打10打点と打撃好調な主砲が、この日はピッチングで勝利に貢献した。

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王者クラークが貫禄ある戦いぶりで全道に駒を進めた。昨秋の地区予選以来1年ぶり登板となった佐藤寛は、6安打を許すも要所を締め5回無失点。4回には、けん制で2度走者を刺すなど、落ち着いたマウンドさばきで、流れを譲らなかった。「先発は今朝、言われた。久しぶりで緊張したが、緩急を生かして投げられた。まず全道に行けて良かった」と安堵(あんど)した。

4番として今大会10打点を挙げる主砲が、この日は投球に集中。攻撃面では演出役に回った。1回1死一、二塁の場面で、しっかり左前打を放ち満塁に。「頼りになる打者が後ろにいるので」。小学生時代に所属した札幌・東16丁目フリッパーズの後輩、5番山中麟翔左翼手(1年)が先制の右前2点適時打を放ち“アニキ”の期待に応えた。山中は「寛太さんがいるからここに来た。チャンスをつくってもらったし、何としても点につなげたかった」。この回、佐藤寛からの5連打に重盗も絡め、一挙6点をたたき出し、序盤で岩見沢東を引き離した。

新チームの準備は約1カ月と短かったが、佐藤寛ら前体制からの主力3人がけん引し、打線は4戦47安打48点と大爆発だ。投手陣もエース左腕の菊池伶、右横手の高橋聖(ともに2年)、この秋デビューの山中に、佐藤寛含む4人が登板し26イニング1失点。佐々木啓司監督(64)は「時間がない中、投手が安定していたのが大きい。菊池にめどがついたし、佐藤も良かったね」と目を細めた。

3年前の秋全道は初戦の札幌日大戦で1回に2点リードして降雨ノーゲーム。翌日の再試合で敗れた。18、19年夏の北北海道大会は2年連続決勝で散り、今夏は独自大会を制すも、コロナ禍で甲子園はなかった。佐藤寛は「先輩がいい流れをつくってくれた。僕らの代で甲子園出場を果たしたい」。16年夏以来の聖地への切符を、今度こそ奪い取る。【永野高輔】

▽クラーク・山田晴陽主将(2年)「前の試合が1点差勝利だったので、今日はあらためて1球に集中しようと全員で徹底して臨んだ。ミスなく終われたのも大きい」