由利工が湯沢翔北に3-2で競り勝ち、初の決勝進出で秋3年ぶりの東北大会出場を決めた。エース高瀬水楓(みなき、2年)が2試合連続完投(1完封)となる9回6安打2失点。バットでは主将の斎藤聖(しょう)内野手(2年)が先制打、決勝犠飛の2打点でけん引した。

高瀬は打たせて取る丁寧な投球を貫き、リードを守り抜いた。3-1の9回、先頭に安打、後続に四球を許し、1死後に適時打を浴びた。それでも女房役の佐藤大成捕手(1年)が盗塁を防ぎ2死とすると、最後は三振に封じ、相手の反撃を断ち切った。高瀬は試合を通して「思うようにコントロールが定まらず、変化球のキレもなく甘いところにいってしまった」と反省しきりだった。

3回にアクシデントが起きた。右手人さし指の皮がむけ、軸にしていたカーブを通常の握りでは投げられなくなった。握りを変えてみたが、ストライクが入らず、フォークに活路を見いだすと、ゴロ、飛球アウトを重ねることに成功した。

連続完投も自信につながっていない。「自分の実力というより奇跡に近い。自分が自分がとならず、周りに気を使って投げていきたい」。秋の東北大会は3位で進んだ17年以来。高瀬が3戦連続完投で初優勝へと導き、東北切符獲得に花を添える。【山田愛斗】