快進撃を続けてきた細田学園が、惜しくも決勝で敗れた。2014年創部にして初の県制覇とはならなかったが、この秋の躍進の裏に1人の“魔法使い”がいた。背番号18の飯吉陽来投手(はるく=2年)だ。最速115キロの上手投げ右腕。投手にしては小柄な170センチ、65キロで、剛速球が武器でもないが、準々決勝の花咲徳栄戦で先発し、8回1/3を4安打2失点。ジャイアントキリングに大きく貢献した。

斜めに大きく変化するカーブを武器に、強力打線をきりきり舞いさせてきた。「ストレートと球速があまり変わらないのが武器です」と胸を張る伝家の宝刀。この日の決勝でもそのカーブを主体に、縦に落ちるスライダーと直球を織り交ぜながらピッチングを組み立てた。球場のスピードガンが67キロを表示する場面もあり、緩急も巧みに使った。2回1死一塁から2番手として登板し、7回2/3を9安打3失点。来秋のドラフト候補に挙がる吉野創士外野手を4打数無安打と完全に封じた。試合には敗れたが「全体通しては持ち味を出せたかな」と自身の投球には手応えをつかんだ。

「ストライク先行の投球がストロングポイント」と話すようにコントロールには自信があるが、謙虚に先を見つめる。「このまま満足せずにレベルアップをしていきたい」。“魔法”を磨いて、関東の舞台でさらなる力を解き放つ。【湯本勝大】