来秋ドラフト候補の市和歌山・松川虎生(こう)捕手(2年)が逆転打を放ち、2年ぶり12回目の近畿大会出場(17日開幕、わかさスタジアム京都)を決めた。

女房役がチームの窮地を救った。1-3の8回1死満塁。松川が相手の好右腕・中西聖輝(2年)の高めに浮いた直球を捉えた。試合をひっくり返す走者一掃の適時打で、2回以降無得点に抑えられていた中西からワンチャンスをものにした。「俺が決めないと負けると思った。あいつ(小園)に助けられてばっかりで、自分が打ってやっと助けられたと思う」。同じく来秋ドラフト候補の最速152キロ右腕・小園健太(2年)が5回まで毎回安打を許す苦しい展開。相棒を助けた一振りを振り返り、安堵(あんど)の表情を浮かべた。

その松川の一振りに小園も「絶対打ってくれると思った時に打ってくれるすごい打者。敵じゃなくてよかった」と感謝した。

この日は「センバツがかかったときの智弁は恐ろしかった」と小園も振り返るように、序盤は相手打線に押され5回までに被安打7。小園も「まっすぐで押してる場合ではなかった」。得意の直球は控え、6回からはバッテリー間で「打たせて取る」をテーマに軌道修正。変化球を多投した。3者凡退は6回の1イニングのみだったが、1点差に迫られた9回2死一、二塁では4番徳丸天晴外野手(2年)からカットボールで空振り三振。1点差ゲームに決着をつけた。

小園は9回11安打4失点(自責3)の粘投で完投勝利。この日は最速146キロ。ロイヤルズの大屋国際スカウトは、智弁和歌山の中西と両投手に対し「(来年)候補として十分なってくると思う」と今後の成長を期待した。

決勝戦は、新人戦で敗れた(2-6)和歌山東が相手。県王者に立つことが、近畿大会を前に大きな弾みになる。