兵庫屈指の進学校、長田が1950年(昭25)以来、70年ぶりの近畿大会(17日~わかさスタジアム京都)出場を決めた。村野工との3位決定戦で延長13回、1年生ながら174球で1失点完投した松田宰(つかさ)投手が歴史の扉を開いた。決勝は神戸国際大付が東播磨を完封した。

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長田のスーパー1年生、松田が奮投した。低めに球を集め、打たせて取る投球を継続。延長13回、ついに味方がタイブレークで1点を勝ち越した。その裏1死二、三塁のピンチで、後続2人を三振と内野ゴロに打ち取った。「こういう試合を任せてもらえてうれしい。絶対に勝つと思った」。計174球。6安打1失点、10奪三振完投で、70年ぶりの近畿切符をつかんだ。

東大合格者を毎年輩出する進学校。勉強との両立から練習時間は2時間程度。筋力トレーニングの時間はなく、球拾いをダッシュで行うなど下半身強化を工夫した。松田はブルペンで打者の膝上の高さにゴムを張って投げ込み制球力を磨いた。正捕手のケガがあり、内野手の大西健太郎主将(2年)が急きょ地区大会前からバッテリーを組む急造で激戦区を勝ち上がった。

松田は「大西さんのリードの通りに投げた」と会心。得意な直球を何度も要求した大西も「自信のある球を投げた方がいい。『気持ちのこもった球を投げてこい』って」と笑顔だ。永井伸哉監督(48)は「(70年の)重い扉をこじ開けてくれた。松田がよう辛抱して投げてくれた」と涙を浮かべた。【南谷竜則】

◆長田(ながた)1921年(大10)に兵庫県立第三神戸中学校として開校。今年で100周年。野球部は22年創部で現在の部員は23人。主なOBにフリーアナウンサーの宇垣美里ら。所在地は神戸市長田町2ー5。