春夏通じて初の聖地へ「王手」だ! 柴田(宮城3位)が東日本国際大昌平(福島1位)との打撃戦を15-10で制し、初の1大会3勝、秋は32年ぶりの4強進出を決めた。「4番一塁」の菅野結生(ゆうき)内野手(1年)が8回の逆転打を含む4安打4打点と大暴れ。両軍ともに18安打の打ち合いは9回に9点を奪って突き放した。連覇を狙う仙台育英(宮城1位)、日大山形(山形1位)、花巻東(岩手3位)も勝ち上がり、東北2枠のセンバツ切符を懸けて18日、石巻市民球場で準決勝を戦う。

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柴田が逆境をはね返し、県3位からの下克上完結に近づいた。初回に5番村上太生輔外野手(2年)の2点適時打で先制も、準々決勝までの2戦でいずれも2失点完投のエース右腕・谷木亮太(2年)が4回までに5失点の苦しい展開。それでも学法石川(福島3位)、八戸学院光星(青森1位)の強豪私学を打ち破った打線が終盤に目覚めた。7回2死で過去2戦で10打数1安打と不調だった菅野が、この日2本目の安打で出塁すると、続く村上の適時二塁打などで1点差に。同裏を谷木が3者凡退に抑えると追い風に乗った。

8回2死二、三塁の好機で、菅野に再び打席が回った。「今まで先輩たちに迷惑をかけてきたので、『今日こそはやる』という気持ちで打席に入った」と逆転の2点適時打。一塁上で右腕を突き上げた。菅野は最終回も1死二、三塁から2点適時打。チームはこの回、打者14人、7安打の猛攻で9点をダメ押しした。

会場には約1200人の観客が訪れ、地元球児の一投一打に拍手が送られた。平塚誠監督(48)は「宮城開催は力になる。声援や拍手は選手たちにも心強く届いていると思う」。準決勝の相手は日大山形。3戦連続となる県1位校との戦いに同監督は「格上相手に持っている力を出し切ろうと話して、よく戦ってくれた。明日も自分たちの力を信じてプレーしてほしい」。大旋風を起こす公立校がホームの声援も受け、事実上の「甲子園決定戦」に向かう。【相沢孔志】