仙台育英が完封リレーで連覇に王手をかけた。最速147キロエース右腕・伊藤樹(2年)が4回から今大会初登板。打席のベースぎりぎりに立って外角狙いの相手打線に対し「インコースをつぶしたりする工夫の中で、執念も感じたけれど、強い気持ちを出すことが出来て自信になった」。3回1安打無失点の左腕・古川翼(1年)からマウンドを引き継ぎ、6回4安打4奪三振。最後も2者連続三振で締めた。

小6時に楽天ジュニアでチームメートだった花巻東・菱川一輝投手(2年)との投げ合いを楽しむかのようだった。8回裏2死一、二塁のピンチも「野手も声をかけてくれたので、視野を広く余裕も持ちながら、ねじ伏せてやろうと思って投げました」。気迫を込めた内角直球も投じ、右飛に封じた。「こういう展開は予想していたし(菱川に)投げ負けたくなかった」と甲子園も経験した差を見せつけた。

決勝進出を決め、来春センバツ出場は濃厚となった。今春はコロナ禍で中止。夏も独自の東北大会開催のみとなり、悔しい3年生の姿を間近で見てきた。現在も寄り添って投球指導をしてくれる前エース向坂優太郎投手(3年)にも恩返しとなる価値ある1勝。「日本一の挑戦を3年生から託されているので、次の1試合も勝ちきりたい」。東北王者として、甲子園に帰る決意表明の力投だった。【鎌田直秀】