今春のセンバツ出場を確実にしている大阪桐蔭の最速150キロ左腕、松浦慶斗(2年=旭川明星中出)が、21年の目標に史上最多3度目となる甲子園春夏連覇を掲げた。旭川から全国制覇8度の強豪に進学し、昨秋の近畿大会では背番号1を背負い準優勝に貢献。日本ハムがリストアップするなどプロ注目の好投手が、投手陣の中心となって頂点に立ち、目標とするプロへアピールする。

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松浦が、どん欲に上を目指す。チーム初練習の4日には、大阪・大東市内の慈眼寺・野崎観音を参拝し、春夏連覇を祈願。目標に向かい、既にブルペンでの投球練習も開始した。

松浦 泥くさく1戦ずつ勝つこと。まずは春のセンバツで優勝し、夏の優勝につなげたい。大阪桐蔭に来たからには甲子園に出るだけではだめ。日本一にならないと認められないので。

着実に階段を上がっている。昨夏の甲子園交流試合で初めて聖地のマウンドを踏んだ。“東の雄”東海大相模との試合に、2-2の8回から登板。2回無安打無失点の完全投球で8回裏の勝ち越しを呼び込んだ。

松浦 甲子園のマウンドを経験できたことは大きい。短い時間だったが強い相手を抑えられて、自信にもなった。本来の大会ではなかったが、あそこで投げた経験を生かせたら。

昨秋は背番号1を背負い近畿大会準優勝。センバツ確実も課題が見えた。決勝の智弁学園(奈良)戦は先発し5回7安打4失点。2-3と追い上げていた4回の打席でファウルを打った際、右肩を脱臼。患部を戻し5回も投げたが連打を浴び、さらに1失点した。

松浦 投手陣の制球が安定せず野手の足を引っ張った。この冬はブルペンから実戦を意識した投球を心掛け、しんどいメニューにもしっかり取り組み、気持ちの面から鍛え直したい。

チーム内競争も激しい。同じくプロ注目の右腕関戸康介(2年)は昨秋、最速154キロをマークした。

松浦 関戸も竹中(勇登=2年)もいる。一緒に練習することで「自分ももっとやらないと」という思いになれる。気を抜いたら抜かれる。今の背番号に関係なく、切磋琢磨(せっさたくま)したい。

小学生時代にはつらい経験も味わった。宮城・石巻門脇小1年、東日本大震災に遭った。母の実家帯広に避難していた当時は、野球どころではなかった。

松浦 震災の日は、両親が学校まで迎えに来て、近くの中学校に避難した。1週間は避難所にいた。こうやって野球をやれることへの感謝の思いを忘れてはいけない。昨年も3年生の先輩がコロナ禍で、満足いくまで野球ができなかった。僕らは、その思いも背負って勝ちにいきたい。

北海OBの父吉仁(よしと)さん(49)は88年春、89年夏に甲子園出場。聖地にはせる思いは強い。

松浦 父の2度出場を超えたい。そのためには春夏の両方出ないと。将来は上の舞台でやってみたい。優勝して、その先につなげられるような活躍をしたい。

高校野球の頂点に立ち、プロへの夢を追う。【永野高輔】(おわり)

◆大阪桐蔭 1988年(昭63)創立の男女共学私立校。甲子園には91年センバツに初出場。同年夏に創部4年目で初の全国制覇を果たす。優勝は春3回夏5回の計8回。12年と18年の2度、春夏連覇を達成。OBには西武中村、森、日本ハム中田、楽天浅村らがいる。所在地は大阪府大東市中垣内3の1の1。

◆道内高校の注目選手 昨秋全道大会で優勝した北海の最速145キロ左腕、木村大成(2年)は1年から主戦として活躍。旭川実との決勝は9回2安打11奪三振で完封し、今春のセンバツ出場を確実にしている。甲子園での投球次第で一気に評価を上げる可能性がある。決勝で敗れた旭川実の147キロ右腕、田中楓基(2年)も、1年時からプロスカウトの注目を集める。左右の好投手が着実に成長しており、21年の道内高校野球も目が離せない。

◆松浦慶斗(まつうら・けいと)2003年(平15)7月1日、宮城・石巻市生まれ。石巻門脇小1年時に門小ガッツで野球を始める。11年東日本大震災で帯広に一時避難後、小3から旭川に転居。旭川新富小3年から新富少年団に所属し、小6でファイターズジュニア選出。旭川明星中では旭川大雪ボーイズでプレー。中1で日本代表としてカル・リプケン12歳以下世界大会に出場し優勝。大阪桐蔭では1年秋からベンチ入り。50メートル走は6秒3。遠投90メートル。最速150キロ。家族は両親と兄。ソフトバンク古谷は母方のいとこ。185センチ、94キロ。左投げ左打ち。

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