昨秋の東海大会で優勝し、3月19日開幕のセンバツ(甲子園)出場が濃厚な中京大中京(愛知)のエース畔柳亨丞(くろやなぎ・きょうすけ)投手(2年)が27日、電話取材に応じ、日本一を目標に掲げた。最速151キロ右腕で今秋ドラフト候補。現時点で球威は1学年上の前エース、最速154キロの中日ドラフト1位の高橋宏斗投手(18)にも劣らない。155キロを目指し、まずは自身初の全国舞台で153キロをマークする。出場32校は29日に発表される。

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畔柳には追い越したい背中がある。最速154キロを誇る昨年のエース右腕・高橋だ。「宏斗さんを超えないと(全国で)通用しないので」。センバツ出場校の発表が迫る中、個人、そしてチームの目標を明確にした。「センバツでは153キロを目指して、勝てるピッチングをしたいです。日本一が大きな目標。153キロは通過点ですが、そこに行けるような投球をしたい」。出場を決めていた昨年の大会はコロナ禍で中止。中日ドラフト1位の高橋や巨人ドラフト3位の中山礼都内野手(18)らを擁しながら、挑戦すらできなかった日本一の座を狙う。

高橋に引けを取らない球威が、畔柳の武器だ。高橋源一郎監督(41)も「球威ならこの時期の高橋よりも上回るものがある。それが一番の魅力」と認める。現時点で151キロ。世代NO・1とされた高橋でもこの時期は148キロで、154キロに到達したのは高3夏だった。畔柳は、最終目標をその高橋を上回る「155キロ」と断言する。先輩であり、ライバル。今春まず153キロをクリアし、夏までに155キロへと加速する。

昨秋、本調子でないながら残した数字がエースの実力を示す。公式戦10試合に登板して49回2/3を投げ、被安打27、6失点(自責4)、防御率0・72。高橋直伝の「挟む感じで」握るチェンジアップなど変化球も駆使し、イニング数を上回る60三振を奪った。力みを抑えた投球を会得し、制球力が向上。7回コールド勝ちした東海大会準決勝の三重戦では、7回1死まで無安打無得点を続け、完封勝利でセンバツを当確させた。竹村小4時、父に連れられたナゴヤドームで目にした阪神藤川球児の「火の玉ストレート」に憧れ、追求してきた。剛速球を代名詞に、センバツを沸かす準備は出来ている。【望月千草】

◆畔柳亨丞(くろやなぎ・きょうすけ)2003年(平15)5月3日生まれ、愛知県豊田市出身。竹村小1年時に豊田リトルリーグで野球を始め、竜神中ではSASUKE名古屋ヤングに所属。侍ジャパンU15代表としてW杯4強に貢献。中京大中京では1年夏からベンチ入りし、2年秋からエース。50メートル6秒2、遠投100メートル。178センチ、84キロ。右投げ右打ち。