「奇跡のだるま」にあやかる。センバツに初出場する柴田(宮城)は14日、同校グラウンドで打撃練習を中心に汗を流した。前日13日の地震で同校のある柴田町は震度5強を観測。この日予定した福島・いわき市での練習をキャンセルすることになったが、平塚誠監督(48)は「津波が本当に心配でした。幸い選手にけがはなく、いい練習ができた」。不測の事態にも動じず、最善の準備を進めた。

沿岸部の山元町から通学する大和田洸翔外野手、柴山浩斗外野手、南條康佑捕手は、いずれも自宅が断水の被害に遭った。前夜から風呂水や給水車でやりくりし、練習後も復旧のめどは分からなかった。平塚監督から「持っていけ!」と飲料水とスポーツ飲料を受け取った2年生トリオは、「甲子園のプレーで頑張りたい」と恩返しを誓い、帰宅した。

不思議な力にも守られた。監督室には神棚があり、センバツ決定後に保護者会から寄付された必勝だるまが並ぶ。大きな揺れで物が落下し、一部が床に散乱したほどだが、神棚はお供えされた状態を保ち、だるまも転倒落下を免れて無傷だった。平塚監督も驚きながら、「甲子園で勝って、だるまに目を入れたい」と言葉に力を込めた。【佐藤究】