21世紀枠で出場する東播磨(兵庫)の長所は、機動力だけじゃない。11年春に加古川北を率いセンバツ8強入りした実績を持つ福村順一監督(48)は「足だけじゃないぞと。守りとチーム一丸が強み」と自信を持つ。

昨秋の公式戦10試合で24盗塁した走力は、チームの特色の1つ。同時にディフェンス力も大きな強みだ。同10試合で失策は5つ。その土台になったのが、チーム内で「決め打ち」と呼ばれる高速ノック。3分間で150本。投内連係の形を取りながら、野手陣はスピーディーかつ、ランダムに来る打球をさばく。瞬発力を鍛え堅守を作り上げた。

「投」の柱もいる。エースで最速142キロ右腕の鈴木悠仁投手(2年)は同10試合で8完投、防御率1・01の安定感が光る。近畿大会初戦では市和歌山・小園健太投手(2年)と投げ合い、2失点完投。チームも2-1と善戦した。福村監督は「公立校の普通の選手でもやれるんだ、というのが出たら」と聖地での戦いを見据える。

歴史を塗り替える。21世紀枠で出場した学校の最高成績は、01年の宜野座(沖縄)と09年の利府(宮城)の4強。同枠の学校が一般出場枠から勝ち星を挙げたのは、15年の松山東(愛媛)が最後。二松学舎大付(東京)を5-4で下してから6年遠ざかり、同枠は17年以降は初戦で9連敗中だ。原正宗主将(2年)はこの日までに取材に応じ「ベスト4、8は狙うつもりです。歴史を塗り替えてやろうという気持ちがあります」と言葉に意志の強さを感じさせた。組み合わせ抽選会は23日、午後3時からオンラインで行われる。

※16年には21世紀枠同士の対戦が実現。釜石(岩手)が小豆島(香川)に2-1で勝利している。

◆東播磨 1974年(昭49)創立の公立校。野球部も同年創部。部員数36人。甲子園出場なし。演劇部や放送部などが全国大会優勝実績あり。主な卒業生にタレントのスパイシー八木、「SASUKE」オールスターズ山田勝己は野球部OB。所在地は兵庫県加古郡稲美町中一色594の2。コロナ禍で、LINEやビデオ会議システム「ZOOM」などオンラインを積極的に活用した練習方法が評価されたほか、野球部の活躍が他の部活動に好影響を与えた点が選出につながった。