高校女子硬式野球のクラーク仙台(宮城)1期生の3年生11人が5日、卒業式を迎える。中川音果(おとは)外野手(3年)は、航空自衛隊に入隊し「航空救難団に入って、女性救難員になりたい」と目標を語った。

救難員は、救難捜索機やヘリコプターに搭乗し、救難現場で要救助者の捜索救助、災害時では人命救助を行う。岩手・久慈市出身の中川は小学2年時に東日本大震災で被災。「自分も困っている人を助けたい」と、人命救助に携わる職業に憧れを抱いた。当初は消防士を志したが、14年の御嶽山(長野)噴火での自衛隊活動を見て興味を抱いた。

同校では公務員試験合格のため、練習後に1日1時間以上は集中して勉強。3年前期の評定はオール5で3学年通算の平均でも4・8と、1期生の中でもトップクラスの学力だった。昨年11月に合格通知が届き、「とてもうれしい。やっと親孝行ができる」と喜んだ。

目標の救難員になるには、専門的な訓練参加が必須条件。厳しい水泳検定、体力検定などの選抜試験に合格しなければ、訓練に参加できない。中川は「災害の被害者は男性だけではない。女性だからこそわかることもあるので、優しくて強い救難員になりたい」。今後は山口県内の基地で3カ月間教育を受ける。心技体を成長させ、1歩ずつ夢に近づく。【相沢孔志】