氷の街から聖地に乗り込む。第93回選抜高校野球大会(19日開幕、甲子園)に21世紀枠で初出場する八戸西(青森)は「全国2勝」を目標に掲げる。昨秋はチーム打率3割5分1厘の攻撃力を武器に、初の東北大会で8強入り。同校のある八戸市は、明治時代からスケート文化が根付き、「氷都」の異名を持つ。連載「甲子園で輝く! 氷都七星」と題し、チームの主力7選手を紹介する。

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八戸西の藤本楓都捕手(2年)は頭脳派だ。扇の要の醍醐味(だいごみ)でもある配球にこだわりを持つ。日ごろからプロ野球のネット中継を見ながら、自問自答を繰り返し配球論を学んでいる。「自分で配球を組み立てるのが好き。抑えた時はやっぱりうれしい。チームから信頼される捕手になりたい」。打者心理を読み取り、重要な局面でも最適解を見いだしていく。

正捕手奪取を目指す。昨秋は背番号2を背負うも、県大会期間中の練習で右ひじの靱帯(じんたい)を損傷し、4試合の出場にとどまった。そんな中、2番手の大釜温斗捕手(2年)が6試合に出場し、結果を残した。藤本は「良いライバル関係。レギュラーは譲らない」と闘志を燃やす。現状は横一線。先発マスク争いは激しい。

今冬は守備に重点を置いた。「1日100球」。マウンドの手前から防具姿でノックを受ける。相棒役で189センチのエース右腕・福島蓮(2年)の決め球は、低めに鋭く落ちるフォーク。ボディーストップの向上は欠かせなかった。藤本は「守備に関してはうまくなっている。重心を低く構えて、後ろにはそらさない」と体を張っていく。甲子園初戦は21日、具志川商(沖縄)との「21世紀枠対決」だ。「まずは楽しむ。気持ちが舞い上がらないように、いつでも冷静に指示を出していく」と言葉に力を込めた。【佐藤究】

◆藤本楓都(ふじもと・ふうと)2003年(平15)6月20日生まれ、青森・八戸市出身。小3から多賀台フェニックスで野球を始め、中学は市川中軟式野球部に所属。八戸西では1年春からベンチ入り。172センチ、70キロ。右投げ右打ち。憧れのプロ野球選手はソフトバンク甲斐拓也。好きな食べ物はメロン。