<センバツ高校野球:中京大中京2-0専大松戸>◇25日◇1回戦

大会第3号はランニング本塁打だった。7回2死二塁。中京大中京・櫛田理貴外野手(3年)の左翼手の前を襲った打球は一気にフェンスまで達し、打者走者まで本塁を陥れた。途中出場の櫛田は「サク越えは1本もないです」といいながら声を弾ませた。

大会第6日が終了、出場32校すべて登場したが、このランニング本塁打を含めて本塁打は3本しかない。一昨年は19本飛び出した。優勝校東邦の石川(中日)は1人で3本放った。00年以降の最少は03年に9本がある。昨年のセンバツ出場校が夏に対戦した交流試合(16試合)の本塁打が同じ3本だった。

コロナ禍での開催となった大会。前日まで解説者として甲子園を訪れた帝京・前田三夫監督(71)は私見としながら、感染防止で時間制限された練習を挙げた。「センバツのかかる学校は冬場も実戦、技能練習が優先する。ウエート(体づくり)が不足したのではないか」と話した。

第3号の櫛田は公式戦初打席の本塁打だった。この1本が決勝打となって、大喜びした。残る13試合であと何人が櫛田のような笑顔を見せるだろうか。【米谷輝昭】

◆ランニング本塁打 中京大中京・櫛田が記録。センバツでは13年に峯本匠(大阪桐蔭)が遠軽戦の1回に放って以来。ランニング本塁打が決勝点になったケースは、12年の大杉諒暢(光星学院)が愛工大名電戦の8回、2-2から勝ち越し3ランを打って以来。