最速152キロで今秋ドラフト候補の市和歌山・小園健太投手(3年)が完全無欠のエースへの再出発だ。4日、和歌山市内の同校で行われたセンバツ後初登板となる東邦(愛知)戦は救援で5回2/3を3失点。教訓となったのは、同点に追いついた直後の7回だ。連打と四球で満塁の危機を背負い、左翼へ走者一掃の適時二塁打を浴びて3点勝ち越された。

中盤までは2点を追う展開だった。打線が粘って追いついた。仲間の奮闘に応えられず「点を取ってもらった次の回、少し気が緩んでしまった。東邦という強い相手に2点差を追いついたのはチームとして、とてもプラス。簡単に取られてしまった」と猛省した。

勝負の流れを支配する姿を目指す。3月26日のセンバツ明豊戦も同点に追いついた直後に勝ち越し点を許した。試合後「変に気負って自分勝手」と話したが、半田真一監督(40)には「力まなあかんぞ。プレッシャーに変わるのは当たり前」と言われた。同点直後、勝ち越し直後の重圧を受け止める心の強さを求める。

この日は8回、3点を奪って再び同点に追いつくと奮起。2者連続空振り三振など圧倒した。9回、1点勝ち越しても耐えた。小園は言う。「次の回からは自分にできることは何か考えたとき、全力でその打者と向き合うことだと」。同じ失敗を繰り返さなかった。

勝敗を分ける局面で踏ん張るのがエースだ。「自分のメンタルコントロールや自分がチームにいい影響を与えられる投球をして、春、和歌山で絶対に優勝する思いでやりたい」。同23日センバツ県岐阜商戦で完封し、非凡さを知らしめた。心を磨いて、敵を圧倒する夏を目指す。【酒井俊作】