関東第一に頼もしい“新戦力”が現れた。2年生右腕の成井颯(なるい・はやて)投手だ。公式戦初先発で、共栄学園打線を1安打1失点(自責0)に抑える完投勝ち。130キロ台の直球に、変化球を低めに集めた。「初先発で緊張しましたが、低めにコントロールできました」とホッとした様子で話した。

昨秋、初のベンチ入り。リリーフで1イニングだけ投げた。千葉・我孫子出身で、中学時代は名門・取手シニアでプレー。米沢監督が「中学の実績は申し分ない。体も出来てきたし、春、どこかで投げさせたいと思っていた」と話す存在だった。そこで選んだ相手が共栄学園。「夏、優勝するためには、必ず倒さないといけないチーム。成井が、どれだけやれるか見たい」と満を持して先発させた。

セットから腕を振った。初回こそ、変化球が浮いたが、成井は「甘く入ると長打になる。前へ、前へと意識しました」とリリースポイントを修正。2回以降は安定し、6回先頭まで無安打投球を続けた。唯一の失点となった6回1死三塁からの暴投も、低めを意識した結果だった。

チームには、ドラフト候補にも挙がるエース市川祐投手(3年)がいる。そこに、完投できる1枚が加わった。米沢監督は「(夏は1週間)500球の球数制限が出てくる。成井が出てきたのは大きい」と評価した。成井は「初先発にしては、よく出来たかな。80点です」と控えめに喜んだ。冬場、6秒に1球のテンポで投げ込んだ際も、低めを意識。やってきたことが実を結び、16強に進んだ。【古川真弥】