常総学院が両チーム合わせ29安打の乱打戦を制し、準決勝に進出した。

7-8と1点を追う7回2死一、三塁。花咲徳栄の3番手、堀越啓太投手(3年)の暴投で同点に追いつき、さらに四球と右前打で満塁に。打席には6回から途中出場の加藤颯内野手(3年)が入った。「狙い球を直球に絞り、後ろにつなぎ1点でも多く、という意識で打席に立ちました」と、しぶとく中前へ運ぶ2点適時打で勝ち越した。投げては8回からマウンドに上がったエース大川慈英投手(3年)が2回を1安打無失点に抑える好救援で試合を締めた。

試合後、加藤は島田直也監督(51)に、笑顔で拍手を送られ「監督に褒められるなんて…めったにないことなので。うれしいです」と満面の笑みを浮かべた。

悔しさを喜びに変えた。加藤は「僕は昨年、2度も試合を終わらせたことがあるので…」と明かした。昨夏の茨城県南地区選抜大会の藤代戦。そして昨秋の関東大会決勝の高崎健康福祉大高崎戦。いずれも自身が最後の打者で凡打に終わっていた。寮で一人になると、このシーンがよみがえり涙がこぼれたという。「もう二度とこんな思いはしたくない」とバットを振った。「僕は背も低いし、体重も軽い。ゴロヒットでセンター前を意識して練習しました」。勝負強さを身につけるために、何事にも率先して取り組み、練習では誰よりも大きな声を出して取り組んだ。

悔しい冬を乗り越え、チームに勝利を呼び込む一打を放ったが「まだまだこれから。僕は背番号13。喜んでいられない。これに満足せずに関東を制覇して、レギュラーを目指したい」と目を輝かせた。

島田監督は「加藤は今まで出るチャンスがなかったけど、当てるのが上手な選手。よく打ってくれました。投手がダメならバッターでかえす。それができている。着実にチームの力がついている」と、選手たちの成長に目を細めた。

次は準決勝。22日、関東第一と対戦する。