第103回全国高校野球選手権の各地方大会が、まもなくスタートする。コロナ禍の苦しい環境下でも、全力で野球に取り組んできた球児たち。それぞれの思いを抱いて迎える2年ぶりの夏が、やってくる。

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相原(神奈川)が2年連続の初戦突破を目指す。農業や商業に関する専門教育を行う同校は、昨夏の神奈川大会で12年ぶりの公式戦勝利を挙げた。選手は10人と少ないが、2年目の那須野恭昂監督(29)の下で「自立」をモットーに、1人1人がテーマを持って練習に取り組んでいる。

環境緑地科で草花図鑑の制作や造園などを学ぶ田村晴太主将(3年)が投打の軸だ。「重たい石を運んだり(花の)写真を撮ったり、暑い中で体を動かす授業が多いので、体力づくりに役立っています」と笑う。

夢は、幼なじみとの対戦だ。立花学園の150キロ右腕・永島田輝斗投手(3年)とは、小学4年から中学3年までバッテリーを組み「お互いに試合の結果を共有している」と、今も刺激にする。永島田は高校で捕手から投手に転向し、プロ注目選手に成長。もちろん負けたくない。ともに勝ち上がれば、準々決勝でぶつかるライバルに「今はポジションも同じ。戦いたい」と闘志を燃やした。

「初戦突破」の先には県内の農業高校初のベスト16を見据える。田村は「応援される野球をしたい」と、全力プレーでの快進撃を力強く誓った。【勝部晃多】