エースの完全復活だ。木更津総合(千葉)の島田舜也投手(3年)が投打にわたる活躍を見せ、チームを準決勝進出に導いた。習志野戦で今大会初先発。140キロを超える伸びのある真っすぐにカーブ、スライダーを自在に操り、相手打線を翻弄(ほんろう)した。「ここまできたら、自分を信じて投げるしかない」とストライク先行で8回まで三塁を踏ませず。5安打7奪三振の2失点にまとめ、9回を投げ抜いた。打っても8回にダメ押しの左越え2ラン。バットでも存在感を示した。

新チームではエース番号「1」を背負ったが、秋の大会終了後、右手の血行障がいに襲われた。2月に手術し、投球練習を始めたのは4月。「本番は夏」と言い聞かせ、焦る気持ちを抑えてリハビリに専念。ゆっくり歩くことから始まったが、握力だけでなく手の感覚を戻すため、ボールは握り続けた。

悔しかったケガも、プラスに捉えた。リハビリ中はフォームを一から見直し、いろいろな投手の動画を見て投球術を学んだ。「三振を取れなくても、勝てる投手になればいいと考え方が変わりました」。力任せではなく、変化球、直球をコースに投げ分け、制球力で勝てる投手に成長した。

19年夏、秋の準決勝で敗れた習志野にリベンジを果たし「やってきたことは間違いじゃなかった」と、手応えをつかんだ。エースの完全復活と習志野撃破。木更津総合は勢いに乗る。【保坂淑子】